小児科医を志したいと思ったのは初期研修医2年目の頃からでした。
臓器を横断的に診られる医師になりたいという漠然とした理想を持ち、学生の頃も初期研修1年目も進路に悩んでいました。
市中病院で初期研修を開始し、診療科毎の知識に加えて在宅医療や訪問診療などの魅力を知り、様々な環境で医療を行うには医学単独の知識だけでなく、福祉・公衆衛生の分野など幅広い知見が必要であると実感しました。
特に小児科研修中には、小児科診療を行うには臓器横断的な知識はもちろんの事、ご家族の方と親身なコミュニケーションが大切であり、医療的ケア児等の診療にあたっては医療資源・サービスの調整を行うことが必要となることを知りました。
小児期から成人期への移行期医療の問題、小児在宅診療システムの拡充の課題など未開拓の分野もまだまだある診療科である事も痛感しました。
そこで、それぞれの臓器・疾患のspecialistとしての能力、福祉・公衆衛生の分野への視点も持ったgeneralistとしての能力が求められる小児科へ進むことを決意しました。
出身大学であり、県内の医療を牽引している奈良県立医科大学で自らも尽力していきたいと思っております。
奈良医大の小児科研修プログラムでは基本的には市中病院、NICU、大学病院を各1年間ずつローテートし研修を行いました。市中病院でcommon diseasesへの対応力と小児科の基礎を学び、NICU研修では新生児の診療に関して学ぶことができました。特に3年目に大学病院では、稀な疾患や重症な患者さんに出会う機会が多く、各分野の指導医の先生方の温かいサポートのもと安心して診療を行うことができました。
大学内では専攻医や初期研修医に向けた勉強会も定期的に開催されており、基礎的なことから、日常診療に役立つ知識を沢山教えていただくことができました。
後期研修の3年間を終え、4月から再度市中病院で勤務することになりました。3年間のプログラムで学んだ知識を活かしながら日々診療にあたっております。自分自身のキャリアはまだ決めきれておりませんが、アレルギーや感染症をはじめ、臓器横断的な知識を深めながら小児在宅や移行期医療、小児緩和ケアや医療的ケア児の診療など多方面の知識を深めていきたいです。
少子高齢化と現代医療の進歩いう大きな流れの中で小児医療の形は日々変化していくと考えられます。一例では子供自体が減る中で予防接種が普及し、重症感染症の症例も減少しています。一方でライフスタイルの多様化によって生殖医療や高齢出産で生まれる児の割合が増えており、多胎妊娠や新生児の蘇生の現場で小児科医が必要となるシーンが増えています。医学の進歩によってNICUでの児の救命率も高まり、人工呼吸や胃瘻などのデバイスを使用した児の数も増えています。その様な子供たちの継続的な支援の整備は今後の小児科医に求められる一つの分野であると言えます。発達の問題や児童精神の分野に精通した医師の需要など、時代が進むにつれて小児科に求められる知識はさらに増えていきます。そんな時代の中で自分の興味にあった分野の選び方ができるのも小児科の一つの魅力だと思います。小児診療は大変なイメージが先行することも多いですが、子供達から貰える笑顔を家族・スタッフで分かち合い、一緒に治療のゴールを目指せるのは小児科の醍醐味だと思います。また、子供達と継続して関わりながら成長の喜びを親御さんと一緒に共有していけるのは何よりのモチベーションになると思います。一人でも多くの先生方が小児科に興味を持って頂き、一緒に奈良医大小児科で働けると幸せです。
私は父を病で亡くした経験から、一人でも多く病気で苦しむ人を助けたいと考え医師を志しました。
私が小児科を選択した理由は二つあり、一つ目はこどもの成長をみることができる点です。こどもが元気に成長していくところを見ることができるのは、小児科ならではと思います。
二つ目は、様々な分野を診ることができる点です。感染症、アレルギー、循環器疾患、先天性疾患、内分泌疾患など幅広い知識が必要となりますが、それだけやりがいのある仕事だと思い小児科を選びました。
私は奈良県費奨学生であり、奈良県立医科大学での研修を選択しました。奈良医大小児科は血栓止血分野を中心として、各分野のスペシャリストがおられ、様々な分野の症例を経験することができました。
奈良医大の小児科研修プログラムでは、市中病院、NICU、大学病院を各1年間ずつローテートし研修を行います。大学病院では、稀な疾患や重症な患者さんが多く受診されますが、各専門の指導医の先生方の手厚いサポートのもと安心して診療を行うことができました。
また、抄読会が毎週行われており、新しい情報を得ることができる良い機会となりました。抄読会だけでなく、専攻医や初期研修医に向けた勉強会も定期的に開催されています。基礎的なことから、日常診療に役立つ知識を教えていただくことができました。
後期研修の3年間を終えて、四月から市中病院で勤務することになりました。そこでアレルギーの勉強をし、アレルギー専門医を目指したいと思っています。アレルギー疾患を持つ児は非常に多く、一人でも多くのこどもを助けてあげたいと思います。
日本は少子高齢化という問題に直面していますが、小児医療は時代とともに変わり、ますます小児科医の需要が高まっています。
小児救急や一般小児は元より、発達や精神の問題に対する役割、虐待の増加に伴う社会的な役割、ワクチンなどの予防医学、様々な分野での専門性を持った医師が求められています。私自身は小児科医としての勤務歴は短いですが、奈良医大の小児科には各分野の専門医の先生が多数勤務されており、丁寧に指導してもらえるので自信を持って医療をすることができています。
こどもの疾患を治療するだけでなく、ご家族とも信頼関係を築き、みんなが笑顔になれるような医療ができる小児科医になりたいと思っています。小児科に興味を持ってくださっている医学生や研修医の先生方にお伝えしたいことは、きっと小児科を選択して後悔することはないということです。お一人でも多くの先生と、奈良医大小児科で一緒に働くことができたらとても幸せです。
私は臨床研修制度が始まる前年(2003年)の卒業ですので、大学6年生のときに進む道を決めないといけませんでした。もともと内科系か小児科と漠然とは考えていましたが、具体的な診療科を決めるときにはいろいろ迷いました。ただ、全身を診られるようになりたい、腎疾患の患者さんがもし消化器疾患になっても違う科へ紹介するのではなく自分で対応できるようになりたいという思いがあり、小児科を選びました。生まれも育ちも大阪ですので大阪の病院へ行くことも考えましたが、奈良医大小児科の先生方の温厚なお人柄、同期の人柄に惹かれ、この職場ならがんばれそうと思い入局を決めました。
大学小児科・NICUで2年間研修をし、様々な重症患者さんと関わる中で、学術的なことや手技だけでなく患者さんやご両親の思い、医療に関わる社会的な側面等いろんなことを経験できました。マンツーマンで相談できる環境下で指導医の先生にはたくさんのことを教えていただきました。その後関連病院に異動になってからは、病棟担当だけでなく外来も担当するようになり、急性疾患のみならず慢性疾患や成長発達のフォロー等も経験することができましたし、夜間救急では慌ただしい救急対応の中でも丁寧に診察をし、隠れている疾患をいかに見逃さないかということの訓練を積むこともできました。
上記の通り、私は全身を診たくて小児科医になったのであまりサブスペシャリティを決めるつもりはありませんでした。しかし、医師7年目の頃に関連病院でたまたま内分泌外来を担当することになったのですが、まあ難しくて・・・。教科書を調べても解決できないことがたくさんあり、このもやもやをとりたい!と専門施設に外来見学へ行かせていただくことになりました。そこから内分泌学の面白さに惹かれ、教授にお願いをして国内留学をさせていただき、医師12年目から大学で内分泌専門として勤務することになりました。「内分泌代謝専門医」も取得することができましたが、まだまだ治療等で迷うこともあり日々勉強だなあと感じています。今は、元々思い描いていた小児科医像とは少し違う位置にいますが、これも大事なご縁、子どもたち1人1人や先生方との出会いの積み重ねで今があると感謝しています。
奈良医大小児科の研修プログラムでは、3年間の中で一般市中病院、大学病院、NICUで研修をしていただきます。一般市中病院ではcommon diseaseの診療を中心に、救急対応を1人でできるようになるよう、そして大学小児科では重症児の診療および各専門領域を専門チームからより深く学べるよう、NICUでは重症新生児の対応をできるようにと、網羅的に研鑽を積むことができます。また小児科専門医取得後サブスペシャリティを勉強したい方は、大学での指導医のもとでの研修や、国内留学も相談次第で可能です。血栓止血領域が当教室の専門ですが、それ以外にも循環器、腎臓・膠原病、神経、血液腫瘍、感染症、内分泌、新生児、それぞれの専門医が診療および指導を行っています。またアレルギー領域も関連病院で専門医が診療していますし、心身症の診療を専門的に行っている施設もあります。幅広く、そしてより専門的にいろんな領域を勉強することができます。
また、女性の先生から「出産しても働けますか?」とよく質問を受けます。もちろん「Yes」です。当教室では、約20-30人の女性医師が子育てをしながら大学および関連病院で勤務しています。仕事と育児の両立はもちろん大変ですが、家族や職場の先生方にサポートしてもらいながら、皆それぞれの職場で自身の役割を果たすべく、そしてキャリアアップも目指してがんばっています。子育てしながらわが子の発育発達を見守ることが、そのまま小児科医としてのキャリアアップにつながりますよ。
最後に・・・小児科の魅力はなんといっても「子どもの成長を一緒に見守ることができる」「全身を診ることができる一方で専門領域を深く勉強することもできる」ことだと思います。子どもたちの生命力はすごいですよ。全国の小児科医がそんな子どもたちから日々癒しとパワーをもらいながら頑張っています。ぜひみなさんにも仲間に加わっていただけるのをお待ちしています!