NICUのご案内 ~総合周産期母子医療センター新生児集中治療部門~
診療概要
新生児集中治療部門では新生児専門のスタッフが24時間体制で、小さく生まれた赤ちゃんや病気をもった赤ちゃんの入院治療を行います。
また地域の産科とも連携し、生まれてすぐの赤ちゃんの搬送も受け入れています。
病床数
- 新生児集中治療室(NICU)
- 21床
- 後方回復期室(GCU)
- 24床
診療実績
- 出生体重
- 診療実績(2020年)
- < 1000g
- 16名
- 1000 ~ 1499g
- 27名
- 1500 ~ 2499g
- 167名
- ≧ 2500g
- 218名
- 総合入院数
- 428名
母乳バンク協会、ドナーミルクに関するご案内
早く生まれた赤ちゃん、小さく生まれた赤ちゃんにとって、お母さまの母乳は最適の栄養です。しかしながら、日本小児科学会も、『早産・極低出生体重児において自母乳が最善の栄養であり、早産・極低出生体重児を出産した母親に母乳育児・搾乳支援を提供しなければならない。もし、十分な支援によっても、自母乳が得られない、児に与えられない場合にはドナーミルクを用いる』(一部抜粋)と提言しています。私たちも、お母さまご自身の母乳を最優先していますが、早産された母体は、自母乳が不足する場合があります。そのような際、当院では母乳バンク協会から提供されたドナーミルクを、赤ちゃんに投与しています。
使用している『ドナーミルク』は、母体の問診や血液検査を行い、日本母乳バンク協会がドナーとして適格と認定した方の母乳で、殺菌後に冷凍保存され、当院へ配送されてきます。
極低出生体重児、特に1000g未満でお生まれになった赤ちゃんは、人工乳では腸への負担が大きく、壊死性腸炎という病気や嘔吐・下痢などを生じるリスクが高いことが報告されています。
当院ではドナーミルク使用の同意が得らえた赤ちゃんには、生後早期からお母さまの母乳が届くまでの間、ドナーミルクを投与しています。小さな赤ちゃんに出生後の絶食期間があると、腸管上皮が萎縮したり局所感染したりします。ドナーミルクには感染防御因子や腸管成長促進作用を有しているため、小さな赤ちゃんにとってとても優しい母乳です。このように小さな赤ちゃんの栄養管理を行う上で、ドナーミルクは大変重要な役割を果たしています。
- 母乳バンクへのドナー登録について
- 2020年8月から当院でも母乳バンクのドナー登録が可能となりました。2020年11月時点で計12名のお母さまがドナー登録をされています。完全母乳のお母さまで母乳がたくさん出て余っているという方はぜひ、母乳の寄付をお考え下さい。よろしくお願い申し上げます。
連絡先
奈良県立医科大学附属病院
総合周産期母子医療センター新生児集中治療部門
母乳バンク担当事務係
電話 0744-22-3051(代表)内線 1450
日本母乳バンク協会のホームページへのリンク:https://jhmba.or.jp/
- 臨床研究について
- 当院では2018年より極低出生体重児への母乳栄養を標準化する利点に関する多施設共同研究(ADVANCE study)に参加しています。この研究は、奈良県立医科大学の医の倫理審査委員会から承認を得て行っています。当院ではADVANCE study対象の赤ちゃんに加えて、対象より小さく生まれた赤ちゃん、乳児消化管アレルギーなど人工ミルクを消化できない赤ちゃんなど、母乳栄養が望ましいと判断した赤ちゃんのうち、ドナーミルクを使うことをご家族が了承してくださった赤ちゃんにもドナーミルクを使っています。2020年11月までに出生体重が1、000g未満の超低出生体重児や1、000~1、500gの極低出生体重児の赤ちゃんなどを中心に、計54名に使用し良好な経過を得ています。ドナーミルクを使用した赤ちゃんたちは元気にすくすく成長し、NICUを退院しています。
スタッフ紹介
内田 優美子 病院教授
- 専門分野
- 新生児、黄疸
- 専門医・資格
- 医学博士、日本小児科学会専門医・指導医、日本周産期・新生児医学会周産期専門医(新生児)、蘇生法専門コースインストラクター
- 学会役員・代議員
- 日本小児科学会代議員、日本周産期・新生児学会評議員、奈良県周産期リエゾンコーディネータ
釜本 智之 講師
- 専門分野
- 新生児
- 専門医・資格
- 医学博士、日本小児科学会専門医・指導医、日本周産期・新生児医学会周産期専門医(新生児)・指導医、新生児蘇生法専門コースインストラクター、災害時小児周産期リエゾン、出生前コンサルト小児科医
利根川 仁 助教(医局長)
- 専門分野
- 新生児
- 専門医・資格
- 日本小児科学会専門医、日本周産期・新生児医学会周産期専門医(新生児)、新生児蘇生法専門コース受講済み、災害時小児周産期リエゾン、出生前コンサルト小児科医
西本 瑛里 助教
- 専門分野
- 新生児
- 専門医・資格
- 日本小児科学会専門医、日本周産期・新生児医学会専門医(新生児)、新生児蘇生法専門コース受講済、出生前コンサルト小児科医
谷 有貴 助教
- 専門分野
- 新生児
- 専門医・資格
- 日本小児科学会専門医、新生児蘇生法専門コース受講済、日本周産期・新生児医学会専門医(新生児)、新生児蘇生法専門コースインストラクター、災害時小児周産期リエゾン、出生前コンサルト小児科医
- ひとこと
- 当院で母乳バンクのドナーミルクを使ってベビーの栄養についての研究をしています。より良い母乳育児についてご家族と一緒に考えていきたいと思っています。なんでもご相談ください。
青木 宏諭 助教
- 専門分野
- 新生児
- 専門医・資格
- 日本小児科学会専門医、日本周産期・新生児医学会専門医(新生児)、新生児蘇生法専門コース受講済、災害時小児周産期リエゾン
角谷 哲基 助教
- 専門分野
- 新生児
- 専門医・資格
- 日本小児科学会専門医、新生児蘇生法専門コースインストラクター
大西 将央 助教
- 専門医・資格
- 日本小児科学会専門医、新生児蘇生法専門コース受講済
水町 邦義 診療助教
- 専門分野
- 血液凝固学
- 専門医・資格
- 医学博士、日本小児科学会専門医、日本小児感染症学会認定医、日本血栓止血学会認定医、新生児蘇生法専門コース受講済
矢田弘史 医員
- 専門分野
- 血液凝固学
- 専門医・資格
- 医学博士、日本小児科学会専門医・指導医、血栓止血学会認定医、新生児蘇生法専門コース受講済
- 学会役員・代議員
- 日本血栓止血学会代議員、日本血液学会評議員
小原 綾夏 助教
- 専門医・資格
- 日本小児科学会専門医、新生児蘇生法専門コース受講済
清水 一貴 医員
- 専門分野
- 一般小児科
- 専門医・資格
- 新生児蘇生法専門コース受講済
西久保 敏也 非常勤医員
- 専門分野
- 新生児血液凝固学、臨床遺伝学
- 専門医・資格
- 医学博士、小児科専門医・指導医、日本周産期・新生児専門医(新生児)・指導医、臨床遺伝専門医・指導医、日本血液学会専門医・指導医、新生児蘇生法専門コースインストラクター
- 学会役員・代議員
- 日本小児科学会代議員、日本周産期・新生児医学会評議員、新生児成育医学会評議員(雑誌編集委員)、日本産婦人科・新生児血液学会評議員、奈良県周産期リエゾンコーディネータ
- ひとこと
- 慢性肺疾患発症における血液凝固・線溶系の関与について研究しています。
看護師